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総合医学研究所は”若手の育成・支援”を推進しています。

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創薬・病態解析研究部門 部門長:後藤信哉



コンピューターと情報科学の進歩は複雑な生命現象への挑戦を可能とした。 心筋梗塞などの血栓性疾患の発症メカニズムを原子の運動などの物理的基本原則から演繹する。また、 血栓症に関わる膨大な多次元情報から疾病発症に寄与するパラメーターを抽出し、 疾病発症との相関関係を定量化する。 高性能コンピューターと演繹的および帰納的アプローチの連成による医学・生物学の革新を目指す。


 

筋萎縮性側索硬化症 (ALS)は、上位及び下位運動ニューロンの選択的変性を特徴とする進行性の神経変性疾患である。現在、ALSの発症機序は不明であり、根本的な治療法は開発されていない。我々は、種々の遺伝子改変マウス及びALS患者iPS細胞由来のALS細胞モデルを用いた総合的解析により、疾患の発症分子機構について解析を行っている。それらの成果を基に、新規の脳・神経疾患治療法及び治療薬の開発を目指す。


 

「脂質」の「質」を意味するリポクオリティという新しい概念が注目されており、リポクオリティの変化による「フェロトーシス」が2012年に報告された。フェロトーシスは鉄依存的な過酸化脂質の蓄積によって誘導される細胞死であり、本研究では、前立腺癌、尿路上皮癌、腎細胞癌の各種泌尿器癌はどのようにフェロトーシスから逃避しているのかを解明し、その機序を介した新規治療戦略の確立を目指している。


 

ヒトiPS/ES細胞を用いて、“性差”という観点から神経などの細胞を作成することで、細胞株がどのような個性を持ち、どのような遺伝子/エピジェネティックな状態に起因しているかを明らかにする。再生医療や創薬スクリーニングなど様々な医学分野で迅速かつ至適な、効果性の高いヒトiPS/ES細胞株の選択を簡易的に選抜できるシステムの構築をするとともに、性特異的疾患など性差に起因する病態メカニズム解明などの貢献を目指す。


 

炎症性腸疾患とは特に若年世代を中心に発症する難病指定疾患であり、現在日本を含む世界で大幅に患者数が増加している。発症要因として遺伝や西欧食などの環境因子、そして腸内細菌叢の乱れが背景に存在することが知られているが詳細はまだ理解されていない。その中で私は、炎症性腸疾患特有の腸内細菌叢の乱れがどのような宿主細菌免疫応答で、疾患病勢に影響を与えているのかを臨床及び基礎研究の両方で行っている。


          
      講師 津川 仁     
   
私たちの体には自己有核細胞よりもはるかに多い数の微生物が共生しています。これら共生細菌は私たちの健康状態(生体の恒常性維持)と密接に関係しています。ここでは、消化管内共生細菌や感染性病原細菌と宿主の相互作用を、分子・細胞・個体レベルで多角的に解析し、生物界間バランスの崩壊が引き起こす疾患発症のメカニズム解明に分子レベルで迫ります。